時系列分析 研究・リサーチ

経済・ファイナンスデータの定常性とは?日本株の時系列データで確認してみた

ツイッターやブログを通じて様々な投資情報が提供されていますが、その主な目的の1つは将来の株価や業績を予測することです。

時系列分析も同様に、株価や経済指標などの時系列データが持つ特徴を説明するモデルを構築し、データの予測やデータ同士の関係性を明らかにすることが目的です。

時系列分析について学んだ内容についてブログにメモを残しながら、その応用について考えていきたいと思い記事を書いています。

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定常性

時系列データを分析するための様々なモデルの根幹には「定常性(stationarity)」という概念が存在します。

定常性は、時系列データの基本統計量(期待値や分散など)や同時分布が時間の推移によって変わらないことを表す概念です。

その際に、何を不変と仮定するかによって「弱定常性(weak stationarity)」と「強定常性(strict stationarity)」に分類されます。

(弱)定常性の定義

$$E(y_t)=\mu$$

$$Cov(y_t,y_{t-k})=E[(y_t-\mu)(y_{t-k}-\mu)]=\gamma_k$$

数式は変数の期待値\(E(y_t)\)が時点\(t\)の変化によって変わらないこと、そして、自己共分散\(Cov(y_t,y_{t-k})\)が時点\(t\)に依存せず時間差\(k\)にのみ依存することを表しています。

これに対して、強定常性においては同時分布が不変であることが求められますが、経済・ファイナンスの分野では定常性という言葉は弱定常性を指すことが多いです。

経済・ファイナンスの分野においては、期待値や自己相関などの分析が主であり、強定常性の仮定を必要としないことが主な理由です。

時系列データに定常性を仮定し、期待値や自己相関が時間によらず一定だと考えることで、時系列データの複雑な条件を無視して、分析がしやすくなるというメリットがあります。

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TOPIXで検証

それでは、実際に日本株の時系列データを用いて定常性について確認してみましょう。

出所:investing.com

▲ グラフはTOPIXの原系列をグラフにしたものです。グラフから判断して、明らかに定常性の仮定を満たしていないことがわかります。

一般的に、GDPや株価は経済成長の帰結として長期的には上昇していく傾向があり、経済・ファイナンスデータがもつトレンドは時点によって期待値が変化することを意味します。

つまり、経済・ファイナンスデータの多くは非定常過程であると考えられる訳ですが、一方で、その差分や対数差分を取ると定常過程として振る舞っていることが多いです。

出所:investing.com

▲ グラフはTOPIXの対数差分をグラフにしたものですが、定常性の仮定がそれなりに満たされているであろうことがわかります。

▲ こちらのグラフは定常性をもつように作成した時系列データです。TOPIXの対数差分のグラフと類似していることが確認できますね。

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まとめ

この記事では、時系列モデルを理解する上で重要な定常性という概念についてまとめました。

自分でプログラムを書いて参考文献の図表やグラフを再現してみると、ただ読むより理解が深まります。

最後に、参考文献からの引用です。

ここで主張しているのは, どのようなデータでも定常性を仮定して分析ができるということではない. 重要なことは, 自分がどのような仮定の下で分析しているのかを明確にし, その仮定ができる限り妥当となるようにした上で, モデルの限界をきちんと把握して分析することなのである.

出所:沖本竜義 (2010) 「経済・ファイナンスデータの計量時系列分析」

モデルや仮定に対する正しい理解なくして、正しい分析はできないと肝に銘じて、時系列モデルの学習を継続したいと思います。

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参考文献

▲ 沖本竜義 (2010) 「経済・ファイナンスデータの計量時系列分析」

▲ James D. Hamilton (1994) "Time Series Analysis"

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コメント

  1. […] […]