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高収益企業に投資をしよう!この10年間で最も高いリターンをあげた投資方法の1つ

株式に投資をする際に、何千銘柄もある上場株式の中から値上がりする銘柄を見つけるために、どれぐらいの労力を費やすべきでしょうか。

機関投資家ではアナリストチームが分担を決めて500社〜1,000社の企業を日々モニターしていますが、個人投資家にはそれはできません。

個人投資家が自分の情報網(新聞・雑誌、ニュース、ブログ)にたまたま引っかかったお気に入りの銘柄に投資をしていれば、投資成果は偶然に大きく左右されることになります。

一方で、ファイナンス理論において株価の変動に影響を与えるとされる要因はそれほど多くはなく、高いリターンを獲得するために株価やニュースを追う必要がないことが示唆されます。

この記事では、ファイナンス理論において株価の変動に影響を与える要因の1つとして考えられている「高収益効果」について考察します。

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ファクター投資

まずは株価の変動に影響を与える要因(ファクター)について説明します。

株価の動きを1つの要因で説明しようとするのがシングルファクターモデル、複数の要因で説明しようとするのがマルチファクターモデルです。

有名なファイナンス理論であるCAPM(資本資産価格モデル)は、全ての株価の変動は市場(マーケット)ファクターによって説明できると考えました。

この前提に立つと、全ての株価は市場の動きにどれぐらい連動するかという違いしかないため、個別銘柄に投資をせずに市場全体(インデックスファンド)に投資をすることが合理的な投資になります。

これに対して、市場ファクターだけでは説明しきれない株価の動きを複数のファクターで説明しようとするのがマルチファクターモデルです。

サイズ効果バリュー効果などをファクターとして考慮することで、これまで市場ファクターのみでは説明できなかった企業規模やバリュエーションの違いによる株価の動きも説明することが可能になりました。

日本の個人投資家の間では、シングルファクターの考え方に基づいて市場ポートフォリオを保有することが最も効率的な投資であるという考えが広く浸透しています。

しかし、実際にはマルチファクターに基づいて考えた方が様々な株価の動きをよりよく捉えることができるということが多くの実証研究からわかっています。

高収益効果

マルチファクターと言っても、その有効性や頑健性が様々な論文で実証されたファクターはいくつもある訳ではありませんが、その中でも注目されているのが高収益ファクターです。

高収益企業と低収益企業のリターン差によって、市場ファクターだけでは説明できない株価の動きを説明することができます。

ファクターリターンの推移(米国株)

出所:Kenneth R. French Data Libraryより作成

▲ グラフから過去10年間の米国株式市場において、高収益企業は米国株式市場に対して20%程度のリターンの上乗せがあったことがわかります。

一方で、1990年代の研究では有効性が高かったサイズ効果やバリュー効果は2000年代に入ってからは苦戦中。

米国の高配当(バリュー)投資家などには苦しい市場環境だったということがわかります。

ファクターリターンの推移(欧州株)

出所:Kenneth R. French Data Libraryより作成

▲ 高収益企業のリターンが高かったのは欧州株についても同様です。ここでもバリュー投資家は苦しい状況です。

ファクターリターンの推移(日本株)

出所:Kenneth R. French Data Libraryより作成

▲ 日本においても、高収益企業の株式は高リターンとなりました。日本では他の先進国と違って小型株も非常にリターンが高かったことがわかります。

個人投資家の間で人気だったひふみ投信も、このような小型株のトレンドに上手く乗っていました。中小型株のトレンドが終わってからのパフォーマンスはご存知の通り。

多くの投資家は高いリターンを獲得するには特別なスキルが必要だと考えていますが、実際には収益性が高い銘柄に投資をしていればこの10年間は誰でも高いリターンが獲得できていました。

グラフの高収益効果を投資で獲得したければ、企業の財務諸表を調べて収益性のランキングを作り、順位が高い銘柄群に分散投資をする…パソコンがあれば誰でもできてしまいますね。

もちろん、最近ではパフォーマンスが振るわないサイズ効果やバリュー効果も長期では有効であると考えられています。

なぜ高収益企業のリターンが高いのか

それではなぜ高収益企業は投資家に高いリターンをもたらすのでしょうか。

ある意味では、収益性が高い良い企業に投資をすれば儲かって当然と思うかもしれません。

しかし、市場が効率的(株価が世の中のあらゆる情報を反映して決まっている)だとすれば、良い企業の株価はそれに応じて高い価格がついているため将来のリターンは低くなるはずです。

実は、これについては1つの答えが決まっている訳ではありません。

投資家の行動バイアスによって適正な価格がついていない(アノマリー)と考える立場もありますし、高収益企業が抱える何かしらのリスクに対する見返り(リスクプレミアム)だと考える立場もあります。

しかし、高収益効果がファイナンス研究で重要なファクターとなっていることは事実。

これについては、語ると長くなってしまいますので、またの機会に論文などを紹介しながら記事にしたいと思います。

まとめ

株式市場で高いリターンを獲得する方法はファイナンス理論の発展によって徐々に解明されてきています。

小型株効果、割安株効果、高収益効果、低投資効果、モーメンタム効果など…市場に対する超過リターンが全てアルファだったのは1960年代の話です。

洗練された機関投資家については、投資における科学を何年も前からポートフォリオ運用の実践に取り入れています。

個人投資家については、それをするための十分な金融商品がないのが現状ですが、投資の科学をしっかりと理解して運用利回りの向上を目指していきたいですね。

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インデックス投資家のアタマノナカ

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