証券投資

米国の大学基金が投資する天然資源とは?分散投資において個人投資家が学べること

皆さんは、天然資源(Natural Resouces)という資産クラスについてご存知でしょうか。

高度な長期の分散投資で知られる米国の有名大学基金の多くは、基本ポートフォリオに天然資源という資産クラスを明確に設けています。

個人投資家にとっての代表的な資産クラスは株式、債券、REITですが、分散投資の可能性を追求するために天然資源について調べてみました。

この記事では、米国の大学基金による天然資源への投資について解説した上で、個人投資家として得られる示唆についても考察しています。

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天然資源への投資とは

天然資源への投資とは、森林、石油、天然ガス、金属、鉱物など、文字通り自然界に存在する資源そのものに直接投資をすることです。

基本ポートフォリオにおける天然資源の割合

出所:各大学基金のアニュアルレポートより作成

▲ 基本ポートフォリオは定期的に見直されますが、直近では、どの基金も6%〜9%の資産を天然資源に配分していることがわかります。

これら天然資源への投資は、資源関連株やコモディティ先物など、市場で取引されている金融(派生)商品への投資ではありません。

出所:Yale Investment office "2011 Endowment Update"

▲ 例えば、こちらはイェール大学が投資する北アメリカの森林地帯。

天然資源と同様に実物資産のカテゴリーで扱われることが多い不動産と同じく、森林や油田そのものに(ファンドを通じて)投資をしています。

森林や油田などから採れる木材や原油などの天然資源から得られる収入を、株式や債券における配当や利子だと考えるとわかりやすいですね。

多くの投資家が、株式や債券の枠組みの中で分散を考える中で、世界の最先端のポートフォリオはより広い視野で分散投資を考えています。

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天然資源のリスク・リターン特性

天然資源への投資は、リスクとリターンの観点から、主に以下の2つの特徴があります。

  1. ハイリスク・ハイリターン
  2. 伝統資産との低い相関(分散効果)

ハイリスク・ハイリターン

天然資源への投資のリスク・リターンの水準については、大学基金のアニュアルレポートの中で、以下のように書かれています。

Yale has a 6.5% long-term policy allocation to natural resources with expected real returns of 6.4% and risk of 23.9%.

出所:Yale Investment office "2018 Endowment Update"

▲ イェール大学では、資産クラスの実質ベースの期待リターンを6.4%、想定リスクを23.9%と推定しています。

The asset class is expected to generate a 6.0% annual return net of HEPI in the long run, with annual volatility of 18.0%.

出所:Stanford Management Company "Stanford University Investment 2018"

▲ スタンフォード大学についても、実質ベースの期待リターンが6.0%、想定リスクを18.0%と推定しています。

これらの数字から、天然資源は株式や債券などの伝統資産と比較して、ハイリスク・ハイリターンであることがわかります。

このように高いリターンが期待される理由の1つとして、流動性プレミアムというリターンの源泉が存在していると言われています。

天然資源は、市場で日々取引され、価格の透明性も高い資産と比較して、売却したい時に買い手がいないリスクや価格を正確に評価できないというリスクが存在します。

このような資産の流動性が低いことで生じる追加的なリスクに対して、投資家がリターンの上乗せを求めることが知られており、これが流動性プレミアムと呼ばれています。

伝統資産との低い相関(分散効果)

また、天然資源のリターンは株式や債券などの伝統資産との相関が低く、特にインフレヘッジとして有効に機能すると言われています。

利子が予め固定されている債券はもちろん、株式についても健全な経済成長以外で起こる予期せぬインフレに弱いことが知られています。

一方で、天然資源を含む実物資産は、リターンの源泉がインフレと関係していることから、インフレに強い資産であると言われています。

これらの特性を考慮すると、実物資産をポートフォリオに加えることで、伝統資産との分散によってポートフォリオ全体のリスクを抑えつつ、高いリターンを獲得することが期待されます。

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個人投資家への示唆

実際に、一般的な個人投資家が大学基金と同じように実物資産としての天然資源に投資を行うことはかなりハードルが高いと言えます。

調べたところ、森林に投資するファンドや油田に投資するファンドも海外には存在するようですが、安全な資産の預け先とは言えません。

個人投資家の現実的な選択肢の1つは、ETFや投資信託を活用して金や原油などのコモディティに間接的に投資をすることです。

これらの資産はある程度のインフレヘッジとして機能することが期待されます。一方で、バイ&ホールドで高いリターンが期待できる資産ではないことには注意が必要です。

もう1つの選択肢としては、天然資源と同じ実物資産というカテゴリーで議論されることが多い現物不動産に投資をすることです。

もちろん、天然資源にはない賃貸需要などの要因からも価格は影響を受けますが、資産クラスとしての特性はある程度近いと考えられます。

実際に、以前は不動産と天然資源を実物資産という同じカテゴリーの中で扱っていた大学基金も存在していました。

とは言え、個人投資家にとって大事なことは、必ずしも天然資源に大学基金と同じように投資ができるかどうかということではありません。

大学基金の天然資源への投資から得られる示唆は、資産運用を株式や債券だけではなくより広い視野で考えるべきだということです。

そういう考えると、絵画やワイン、ウイスキー、アンティークコインなど、実物資産への投資はとても面白い分野だと思います。

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まとめ

天然資源が資産クラスとして果たす役割は分散投資において魅力的ですが、十分な資産規模と組織力があってこそ投資が可能な分野です。

個人投資家は機関投資家と比べてどうしても様々な点で不利な訳ですが、我々は与えられた条件の中でベストを尽くすしかありません。

重要な示唆は、株式や債券といった証券投資だけが資産運用の全てではないということだと思うので、より広い視点で個人投資家としての資産形成について考えていきたいですね。

▼ 米国の大学基金のポートフォリオについても記事を書いています。宜しければ、こちらもご参照下さい。

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