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投資家の宝くじ選好が株価リターンに与える影響について解説!ホームラン狙いは儲からない?

株式投資をしていると「一発大きなリターンを当てて一儲けしたい」というのは、多くの投資家が考えることだと思います。

株価指数のように分散されたポートフォリオでは資産が増えないと考える投資家は、儲かりそうないくつかの銘柄に集中投資します。

しかし、数億円欲しさに宝くじばかり買い続けても資産が増えないというのは、株式投資においても同じかもしれません。

この記事では、一般的な投資家がもつと言われる宝くじ選好が、株価リターンに与える影響について解説したいと思います。

ご参考 Boyer, Mitton and Vorkink (2009) "Expected Idiosyncratic Skewness"

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歪度について

まずは、株価リターンにおいて「一発当てる」という概念を数値化するために、歪度という指標について解説します。

より正確には、歪度はデータの分布の偏りについて測るための指標です。統計的な解説については、以下のページをご覧下さい。

ご参考 3-5. 歪度と尖度 | 統計学の時間 | 統計WEB

▲ 例えば、このような株価チャートをイメージしてみましょう。60ヶ月のリターンのうち、一度、50%の大幅上昇を経験しています。

この株価リターンの分布を、ヒストグラムを書いて確認してみると以下のようになります。

基本的には、リターンは平均値を中心とした正規分布に従いますが、50%のリターンによって裾は右に大きく広がります。

このようなリターンの分布をもつ銘柄は、歪度が正の銘柄と定義されます。

▲ 同じように、-50%の大幅下落を経験した銘柄を考えてみましょう。

-50%というサンプルが存在することによって、リターンの分布は左側に裾が広がります。これが歪度が負の銘柄です。

このように過去に大幅上昇を経験した歪度が大きい銘柄には、再び大きな上昇を期待した投資家が集まってくると考えられます。

こうした投資家の選考が将来リターンにどのような影響を与えるのかについて検証した論文をご紹介したいと思います。

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ホームラン銘柄のリターン

歪度の違いによる投資リターンを計測するのはそれほど単純ではありません。

過去の研究によると、過去の歪度が高い銘柄がその後の歪度が高いという関係は必ずしも成立する訳ではないからです。

株価の大幅な変動が何かしらのイベントに起因した可能性を考えると、将来も同じことが起こらないことは直感的にも理解できます。

そこで、過去の歪度や過去のボラティリティなど関係する指標から銘柄の歪度の期待値を推計し、銘柄を5つのグループに分けてリターンを計測します。

出所:Boyer, Mitton and Vorkink (2009)

グループ1(Low)からグループ5(High)に掛けて歪度が大きくなりますが、左の列を見ると平均リターンが1.189%から0.515%と低下していることがわかります。

つまり、歪度が高い銘柄は低い銘柄に対して、平均リターンが低いことが統計的に有意な水準で確認されていることがわかります。

この背景には、投資家が大きな儲けのチャンスを手に入れる代償として、コストを払っている可能性があると考えられています。

リスクが低い銘柄のリターンがリスクが高い銘柄よりも高くなる低ボラティリティ効果も、このような投資家の歪度の選好によって部分的に説明ができます。

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まとめ

この記事では、宝くじ(歪度が正の)銘柄への投資効果について解説をしました。

一発大儲けを狙う投資家の傾向が強ければ強いほど、このような過去のホームラン銘柄は割高になり、期待リターンは低下します。

みんなが欲しい資産は期待リターンが低く、みんなが嫌がる資産は期待リターンが高いという投資の原則を忘れてはいけません。

「急がば回れ」という言葉の通り、ポートフォリオのコアにはインデックスなど信頼性の高い資産を据えるようにしたいですね。

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