高配当資産運用

配当利回りだけで投資をしてはいけない?上手な高配当銘柄への投資方法

株式に投資をすることの目的の1つに、株式を保有することで支払われる配当によって、インカム収入を得ることがあります。

高配当銘柄は株式への投資金額に対して相対的に多くの配当を受け取ることができることから、投資家に人気の投資手法です。

しかし、高い配当利回りの魅力につられて高配当銘柄に投資をして、思わぬ損失を被る投資家がたくさんいるのも事実です。

この記事では、配当について正しく理解し、高配当銘柄への投資を上手に資産運用に活用できるようになることを目指します。

スポンサーリンク

増え続ける高配当の被害者

先日、高配当銘柄への投資についてのツイートが思わぬ反響を呼びました。

『預金金利がほとんど0%である現在、銀行にお金を預けるより銀行株に投資をした方が効率的』という話を受けたツイートです。

『なるほど、上手いこと言うな』という感じもしなくもないのですが、実際にはそんな理屈で投資が上手くいくほど世の中甘くはありません。

株価の推移:三菱UFJフィナンシャルグループ

こちらは三菱UFJフィナンシャルグループの過去1年間の株価の推移です。

チャートを見てわかる通り、2018年10月5日の高値732.70円から2019年8月6日の512.10円まで30%も株価が下落しています。

配当を4%受け取ったとしても、株価が30%下落すれば、トータルリターンは-26%です。

いくら配当を受け取っても、株価が下落すれば損をしてしまうのですが、このような状況に陥ってしまう投資家が意外と多いようです。

配当について正しく理解する

なぜインカム収入を得るために投資した高配当銘柄で思わぬ損失を被り、資産を失う投資家が後を絶たないのでしょうか。

そこには投資家が高配当銘柄に抱くイメージと高配当銘柄の真実の姿にギャップが存在することで、正しい投資ができていないと考えられます。

高配当投資は、よくイメージされるような『少ない資金で効率的にインカム収入がコツコツ得られる投資』では決してありません。

むしろ『事業が成熟して今後の成長が見込めず、投資家からの評価が低いリスクの高い銘柄への投資』という方が正しい理解であると言えます。

そこで、そんな高配当投資について正しく理解してもらうため、高配当投資の実践において必ず知っておきたいポイントを3つまとめました。

配当は企業利益の分配

それではまず、配当とは何かというところから始めたいと思います。

配当とは、一言で言うと企業が稼いだ利益を企業の所有者である株主に対して分配する手段のひとつです。

モノやサービスの提供を通じて稼いだ収益から、原料費や人件費などの必要なコストを差し引いた分が企業の利益です。

企業が稼いだ利益を企業に残して次の収益を生み出すために活用するのか、それとも企業の所有者である株主に還元するのかは、株主から経営を任されている経営者が判断します。

もちろん、高い収益を稼ぐ投資機会があれば、経営者は利益を会社に残して翌期の投資の原資として活用します。

逆に、魅力的な投資先が見つからない場合は、稼いだ利益を投資家に返すという判断をします。

つまり、配当を多く支払う企業とは魅力的な投資機会が存在しない成熟した企業であることが多いということです。

こうした成熟企業の株は市場環境が悪くなると投資家が安心感を求めて買われる傾向がありますが、逆に、市場環境が良好で投資家が成長を求める場合には株が出遅れる傾向があります。

配当は無料ではない

続いては、株式投資による配当は無料で受け取ることができる訳では無いという話です。

株価の推移:日産自動車

グラフは日産自動車の株価の推移です。期間が長いのでわかりづらいですが、2018年3月26日から3月27日にかけて、株価が958.5円から925.0円にカクッと落ちています。

この株価の動きは3月27日の市場動向も影響していますが、そこに配当の支払いが影響しています。

日産の株主に配当が支払われるのは6月ですが、配当が支払われるのは配当支払日に株式を保有していた株主ではなく、配当の権利確定日である3月26日に株式を保有していた投資家に支払われます。

つまり、3月27日以降に株式を保有する投資家には今後支払われる28.5円の配当を受け取る権利がないため、配当の株価が28.5円分下落するということです。

このような株価の仕組みは配当を受け取る権利が落ちるということから、『配当落ち』と呼ばれています。

配当を受け取った分だけ資産が増えると勘違いされることが多いですが、実際に配当を受け取る前に株価が下落しているため、株価が動かなければトータルリターンは0%となります。

株式を保有し続けて配当を受け取っていれさえいれば資産が増えていく…そんな楽な話はないということですね。

配当利回りは株価で決まる

これまで配当利回りが高い銘柄に焦点を当ててきましたが、株式市場には配当利回りが低い銘柄も存在します。

配当利回りが高い銘柄と低い銘柄の違いを生んでいるものは何かを知っておくことは、高配当投資の特徴を正しく理解することにつながります。

配当利回りが高くなる理由の1つ、それは株価が下落することです。

これは配当利回りの定義を確認すれば簡単に理解することができます。

配当利回り(%)= 配当 ÷ 株価

年間の配当が50円、株価が2,000円の銘柄の配当利回りは2.5%ですが、配当が変わらないとすると、株価が3,000円に上昇すれば1.7%、株価が1,000に下落すれば5.0%になります。

高配当株式への投資は、裏を返せば、株価が安い割安株式への投資を行っているのと部分的には同じであると言えます。

賢い高配当銘柄への投資方法

ここまで高配当についてまとめてきましたが、配当利回りだけで何も考えずに投資をしていても資産は増えないということです。

高配当株式が特別という訳ではなく、他の株式と同じように企業の事業が上手くいくのか、投資家が株式を評価するきっかけはあるのかということを考えなければいけません。

高配当銘柄の失敗事例

イメージしてもらいやすいように、過去1年間の高配当銘柄への投資の失敗事例として『あおぞら銀行』を考えてみます。

株価の推移:あおぞら銀行

あおぞら銀行の2018年8月末の配当利回りが4.7%でしたが、その後、株価が下落して2019年7月末の配当利回りは6.2%になりました。

この配当利回りの上昇は、株価の下落によるものです。個人、法人、トレーディング業務から業績が振るわなかったことで株価が低迷しました。

高配当銘柄の株価が下落して何が起きたか。資産が減って、高配当がさらに高配当になっただけです。このような銘柄をずっと保有していても資産は増えませんね。

高配当銘柄の成功事例

逆に、高配当銘柄の中で過去1年間に投資していたら成功だった銘柄が商社株の1つである『伊藤忠商事』です。

株価の推移:伊藤忠商事

伊藤忠商事、三菱商事、三井物産などの日本の商社株は、株価が割安な代表的な高配当業種の1つです。

伊藤忠商事は、2018年8月末時点の配当利回りが3.8%でしたが、1年後、2019年7月末時点の配当利回りは4.1%に上昇しました。

しかし、資源価格の上昇などを背景に業績が好調だったことに加えて、配当性向の向上や自社株買いなどが好感されて、株価は安定的に推移しました。

株式市場が下落する中、伊藤忠商事は10%程度のトータルリターンを稼いでおり、素晴らしい投資成果であったと言えます。

高配当投資のエッセンス

これらの事例からも分かる通り、高配当銘柄への投資においても、キャピタルゲインとインカムゲインを考慮したトータルリターンで考えることが大切です。

株価が伸びない、むしろ下落する高配当株をいつまでも保有していると、大切な資産は増えないどころかズルズルと減ってしまいます。

高配当銘柄に投資をする際は、その企業の事業は伸びる余地はあるか、株価が再評価されるような局面なのかなど、他の株式投資と同様にきちんとした分析が必要であるということです。

まとめ

高配当株式へ投資をする際に、頭に入れておきたいポイントは以下の通りです。

  • 高配当株は成熟株
  • 配当だけでは資産は増えない
  • 高配当は割安株
  • しっかりと分析してから投資

高配当株式は、足元の数年間パフォーマンスが低迷していますが、様々な先行研究で有効性が確認されています。

投資の基本は分散です。高配当株式への投資についても、選択肢の1つとして有効活用していきたいですね。

コメント