債券資産運用

外国債券は本当に不要なのか?ポートフォリオにおける外国債券について考える

インデックス投資について話をしていてよく意見が分かれるのが、外国債券に投資をするべきかという問題です。

国内債券については、日銀の金融政策によって国内の債券利回りがほとんどゼロで推移する中で、現在は投資する環境ではないという意見で一致している傾向にあります。

一方で、外国債券についても、日本と同様に債券利回りが低下しているものの、日本ほど極端ではないという状況で、意見が分かれるところです。

  • 株式との分散効果が期待できる
  • 利回りが低く為替リスクに見合わない
  • 投資家の目標リターンによって決まる

そこで、この記事ではポートフォリオにおける外国債券の役割について考えてみます。結論としては、分散効果を追求する上で外国債券には投資する価値があるということです。

また、シンプルなインデックス投資以外にも外国債券に投資をする選択肢はあるということについても書きたいと思います。

スポンサーリンク

外国債券への投資理由

まずは、債券インデックスファンドのリターンを確認してみます。参考として、外国株式インデックスファンドと比較を行いました。

外国債券インデックスファンドと外国株式インデックスファンドのリターンは、以下のファンドの基準価額を用いて計算しています。

  • 外国債券:三井住友・DC外国債券インデックス(三井住友DSアセットマネジメント)
  • 外国株式:国株式インデックス・オープン(三井住友トラスト・アセットマネジメント)

出所:モーニングスター社HPより作成

▲ 年度別に見るとリターンの傾向はほとんど同じです。2002年度には期待される役割を果たしているものの、それ以降は為替(ドル円)の影響の方が大きいということがわかります。

続いては、為替ヘッジをした場合のリターンで比較を行ってみます。リターンは、以下のファンドの基準価額を用いて計算しています。

  • 外国債券:インデックスF海外債券H有(DC専用)(日興アセットマネジメント)
  • 外国株式:インデックスF海外株式(H有)(日興アセットマネジメント)

出所:モーニングスター社HPより作成

▲ 為替をヘッジすることで、リターンの傾向はやや変化があります。株式が大きなマイナスリターンとなった2007年度と2008年度にプラスのリターンを獲得できているのが大きいですね。

世界金融危機以降は、中央銀行による金融緩和(金利低下)と株高が同時に起きてきたため、為替の影響を除いても債券と株式の動きが連動しやすい市場環境だったと言えます。

▲ 債券と株式の相関を見てみます。円ベース(ヘッジなし)のリターンでは基本的に正の相関、ドルベース(ヘッジあり)のリターンでは基本的に負の相関です。

ドルベースで負の相関があるということで、資産の期待リターンがプラスであれば組み合わせて投資をすることで分散効果が期待できます。

ただし、日本の個人投資家として外国債券への投資を考える際には『株式と債券の分散投資』と『為替のエクスポージャーをどれだけ取るか』という問題を分けて考えた方が良さそうです。

当ブログでは、年度のリターンを安定させるために分散効果を追求したいという考えと保有資産の通貨分散をしたいという考えから、外国債券に為替ヘッジなしで投資をしています。

外国債券への投資事例

実際に、運用実務の世界においては外国債券という資産クラスは、長期投資のポートフォリオには必ずと言っていいほど組み入れてます。

経済のマイナス成長局面など株式がリターンを稼げない局面において、リターンを稼いでくれる資産クラスとしての役割を担っています。

また、定期的な資産の取り崩しが行われる場合には、株式の配当と同様に、債券から支払われる利子が利用されている場合もあります。

▼ 世界トップクラスの機関投資家のポートフォリオを見ても、分散の観点からポートフォリオの一定割合を債券で運用しています。

▼ また、学生の授業料や卒業生の寄付金を長期運用する米国の大学基金も、債券を保有してポートフォリオの分散を図っています。

外国債券への投資方法

それでは、実際に外国債券に投資をする場合の選択肢について検討してみます。

インデックスファンドの活用

まずは、インデックスファンドで外国債券に投資をする場合に、どの投資信託を選ぶのがベストな選択肢なのかを考えます。

外国債券のインデックスファンドは基本的に『FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)』をベンチマークに設定しています。

そのため、運用会社によってリターンに差が出ることはあまりなく、ファンド間のリターン差は信託報酬などの運用コストによって決まります。

コストが最も低いファンドを選ぶのが合理的ですが、業界全体で低コスト化が進んだ現在は最低であることに過度にこだわる必要はありません。

自分の証券口座で取り扱っている外国債券ファンドの中で、最もコストが低いファンドを選ぶようにしましょう。

信託報酬の変更を追いかけている投資ブログもありますが、運用コストはモーニングスターのファンド検索で簡単に確認することができます。

アクティブファンドの活用

続いて、外国債券の期待リターンの低さに納得ができないという投資家の方には、アクティブファンドに投資をするという選択肢もあります。

債券は発行された債券を政策保有する場合などもあるため、株式市場ほど効率的ではなく、ベンチマークに対する超過収益を獲得しやすいという意見もあります。

また、世界のボンドハウスと呼ばれるような大手の債券系運用会社については市場における存在感も大きく、より有利な条件で取引を行えている可能性もあります。

もちろん、過去にパフォーマンスが優れていたファンドに投資をすれば、その後も高いリターンが得られるというほど単純ではありません。

超過収益の源泉、運用戦略の哲学、ファンドマネジャーの経験、強みや弱みなどを把握して、ご自身の投資方針に合ったファンドを選ぶようにしましょう。

レバレッジファンドの活用

最後に、新しいアイディアとしてレバレッジ型の債券ファンドの活用について考えてみます。

プラスの利回りの債券は満期まで保有すればプラスのリターンを得られるため、債券にレバレッジを掛けるという方法はある意味では合理的です。

また、リターンにレバレッジを掛けることで債券の保有量を抑えることができるため、株式により多くの資金を投資したい投資家に向いています。

しかし、実際にシミュレーションをしてみるとあまり上手くいきませんでした。

レバレッジを掛けたファンドのリターンが長期的には単純にエクスポージャーを取った分だけ増えないという問題によるものですね。

まとめと参考文献

世界的な金利低下と同時に株式が値上がりした過去の10年間を経て、現在は債券に投資をする環境ではないという主張も一理あります。

しかし、多くの人が世界的なマイナス金利を予測していなかったように、いくら現在の金利が低かったとしても、将来の金利動向を正確に予測できる訳ではありません。

債券を買えない金利水準、逆に、買える金利水準を誰かがいつも教えてくれる訳ではありませんので、資産クラスの分散を考えて債券を保有しておくのがいいのかなと考えています。

株式投資と比較して、債券投資の話は理解するのが難しいと感じる方が多いです。

私も勉強を始めた頃は『利回りが低下したらリターンが上がるんだっけ、下がるんだっけ…』と、どうしようもない状態でした。

こちらは、債券投資の入門用の書籍として基本的な内容をざっくり理解できるのでお勧めです。

債券投資について、より専門的な知識を学びたい方には、こちらの書籍がお勧めです。

債券投資の本として何度も改訂されているベストセラーですが、ページ数が多いので本として始めから読むより、辞書としてその時に必要な内容を読む感じです。

証券アナリストやCFAのテキストもお勧めですが、資格を取らない人には縁がないと思うので、そのような方にはこちらがお勧めです。

コメント