資産運用

積立投資は新興国株式100%が本当に正解なのか?シミュレーションで検証してみた

先日、積立投資について話をしている際にある意見が出ました。

「毎月一定の金額を購入する積立投資では、価格が高い時に少なく買い、価格が低い時に多く買うことになる」

「そのため、価格の変動が大きいほどその効果も大きくなることが期待される」

「つまり、(基本インデックス資産の中では)価格の変動が最も大きい新興国株式に100%投資することが合理的である」

一瞬、納得してしまいそうになりますが、この考え方は本当に正しいのでしょうか。

この記事では、一部の投資家から聞く「リスクは取れるだけ取った方が良い」という考え方について検証してみたいと思います。

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積立投資の基本

積立投資においては、一般的な投資とは違い、価格が安定的に上がる資産を選んで投資をすることが最も大きな成果につながるとは限りません。

▲ グラフのように、価格が右肩上がりで推移する資産Aと、右肩下がりで価格が推移し、最後に大きく上昇する資産Bを考えます。最終的に2つの資産のリターンは同じになるとします。

▲ グラフは、各産に毎月1万円の積立投資をした場合の投資成果です。

価格が順調に推移した資産Aよりも、下落を続けていた資産Bに積立投資をしていた方が、最終的に得られる資産は大きくなっていることがわかります。

このようにリターンが同じであれば、積立期間においては価格が安値で推移する資産の方が安値で買える機会が増えるため、最終的に得られる資産は大きくなります。

先進国株式と新興国株式

それでは、価格の変動は積立投資の成果にどのような影響を与えるのでしょうか。

まずは、先進国株式と新興国株式のリスクとリターンについて確認してみます。

期間:1988年1月 – 2019年10月(USD建て、GROSS)

▲ グラフは、先進国株式と新興国株式の過去3年間の月次リターンで測ったリスクの推移を示しています。

全期間の月次リターンを用いて測ると、新興国株式は先進国株式に対して1.5倍ほどのリスクがあることがわかります。

MSCI KOKUSAIMSCI EMERGING
平均0.86%1.05%
標準偏差4.17%6.46%

期間:1988年1月 – 2019年10月(USD建て、GROSS)

▲ 先進国株式と新興国株式の月次リターンの標準偏差を比較したのがこちら。

まずは、積立投資効果に対する純粋なリスクの影響を測るため、期待リターンについてはどちらも年率4%とし、リターンが正規分布に従うと想定してシミュレーションを行います。

20年間の積立シミュレーション

上記の月次の期待リターンと標準偏差に基づいて、20年間、毎月1万円を積立投資した場合を10,000回繰り返して計算を行いました。

MSCI KOKUSAIMSCI EMERGING
20年後プラス80.4%63.5%
20年後マイナス19.6%36.5%
平均損益+127万円+124万円

▲ 期待リターンが同じ場合、積立期間の損益がプラスで終わる確率は大幅に下がるという結果となりました。

新興国株式は、最も成功した場合の最大利益も大きくなりますが、最も失敗した場合の最大損失も大きくなり、リスクとリターンはトレードオフになっています。

結論としては、単に価格の変動が大きいだけでは積立投資の効果は上乗せされないということがわかります。

それでは、新興国株式のリターンが先進国株式のリターンに対してどれぐらい高ければ、リスクを考慮してもプラスで終わる確率が同じになるのでしょうか。

期待リターン年率+1%年率+2%年率+3%年率+4%年率+5%
20年後プラス68.8%74.4%79.8%84.4%87.2%
20年後マイナス31.2%25.6%20.2%15.6%12.8%
平均損益+167万円+208万円+272万円+332万円+401万円

▲ 新興国株式の期待リターンを上げていった場合の結果の変化です。先進国株式に対して年率+3.0%のリターンが期待できればプラスで終わる確率が概ね等しくなりました。

年率+3.0%とすると、リスクリターン効率が新興国株式の方が高くなってしまうため、実際にはもう少し低いのではないかと考えられます。

結局のところ、大きな損失の可能性を受け入れて高い期待リターンを目指すべきか、期待リターンが下がっても損失の可能性を抑えるかべきかは投資家の効用次第であり、それぞれ最適なポートフォリオは違うことになります。

また、分析はリターンが正規分布に従うことを前提にしていますが、実際の金融市場では「ファットテール」と言われており、大きな損失が起こる確率がより高いことには注意が必要です。

まとめ

価格変動の大きさと積立投資効果の関係について検証し、必ずしも大きな価格変動が積立効果を上乗せする訳ではないことがわかりました。

安く買って高く買うという考え方は、一見それらしく聞こえることもたしかですが、このように結果を数値的に確かめてみることは大切ですね。

自分の人生は1度だけですので、20年間の積立投資を失敗してしまったから、次は上手くやろうというようなことはもちろんできません。

リスクとリターンの関係を正しく理解して、賢く資産形成を続けていきたいですね。

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インデックス投資家のアタマノナカ

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