資産運用

分散投資を直感的に理解しよう!長期投資で成功するために最も重要なエッセンス

みなさんは、ご自身のポートフォリオが十分な分散投資ができているかと問われたら、自身をもって答えることができるでしょうか。

分散投資というのはどんな投資の教科書にも必ず書かれている投資の基本中の基本ですが、考えれば考えるほどその重要性に気付かされます。

将来が不確実な投資において、分散投資効果は確実に得られる見返りの1つであることを考えると、ぜひ資産形成にも活用したいもの。

この記事では、分散投資効果の仕組みや個人投資家が資産形成に活用する方法について、わかりやすく解説していきたいと思います。

スポンサーリンク

分散投資とは

分散投資についての話をする前に、まずは投資家がどのようなポートフォリオを保有することが望ましいのかという話から始めたいと思います。

リスク / リターン平面

▲ こちらの図は、横軸にポートフォリオのリスク(リターンのばらつき)、縦軸に期待リターン(リターンの期待値)を取った平面です。

左に行くほど収益が安定

▲ リスクが低いポートフォリオは投資から得られる収益が安定するため、リスクは低いほど投資家にとって望ましいと言えます。

上に行くほど収益が高い

▲ また、期待リターンが高いポートフォリオは投資から得られるリターンも大きいため、期待リターンは高いほど投資家にとって望ましいと言えます。

左上ほど理想のポートフォリオ

▲ つまり、平面の左上にあるポートフォリオほど高いリターンが安定して得られるため、投資家は平面の左上にあるポートフォリオを実現するように投資をすればいいことがわかります。

かちとり
かちとり

しかし、話はそれほど単純ではない

平面の左側にあるリスクが低く将来のリターンが安定する資産はみんなが欲しがるため価格が高くなり、将来の期待リターンは低くなります。

逆に、平面の右側にあるリスクが高く将来のリターンが不安定な資産はみんなが嫌がるため価格が低くなり、将来の期待リターンは高くなります。

現実のリスクとリターンの関係は右上がり

▲ つまり、現実に存在する投資可能な資産は、基本的に高リスクなほど高い期待リターン、低リスクなほど低い期待リターンとなります。

リスクを取らなければリターンを得られないという意味では、まさに『虎穴に入らずんば虎子を得ず』という諺が意味する通り。

それでは、リスクを抑えながら高い期待リターンを獲得する方法はないのかという投資家の問いに対する1つの答えが『分散投資』です。

ここで、ある2つの資産に組み合わせて投資をするポートフォリオの期待リターンとリスクの関係について考えてみましょう。

▲ 2つの資産を組み合わせて投資した場合、直感的には点線のリスクとリターンが実現しそうですが、実際には緑の実線のようになります。

これは投資をした2つの資産がお互いのリターンの変動(儲かったり損したり)を打ち消し合うことで、ポートフォリオの全体のリターンが安定することによるものです。

このように、リターンが完全には連動しない(相関が1ではない)資産を組み合わせて投資することで、そうでない場合よりもリスクを抑えることを分散投資といいます。

分散投資の数学的理解

そして、分散投資効果の重要なポイントは、これが時と場合によって起こる現象ではなく、数学的な必然によってもたらされるということです。

ここで、以下の2つの資産の例を考えてみましょう。

  • E[r1]:資産1の期待リターン
  • E[r2]:資産2の期待リターン
  • Var[r1]:資産1のリスク
  • Var[r2]:資産2のリスク
  • E[r1] = E[r2] = e
  • Var[r1] = Var[r2] = σ^2

2つの資産に半分ずつ投資をした場合のポートフォリオのリターン(rp)は、以下の式によって導かれます。

 rp = 0.5×E[r1] + 0.5×E[r2] = e

ポートフォリオの期待リターンが、投資する銘柄の保有ウェイトを考慮した平均値になっていることがわかります。

一方で、2つの資産を半分ずつ投資した場合のポートフォリオのリスク(σp^2)は、以下の式によって導かれます。

σp^2 = 0.25×σ^2 + 0.5×ρ×σ^2 + 0.25×σ^2

ここで2つのリターンの相関を表すρ(ロー)が1ではない限り、このポートフォリオは資産1と資産2と同じ期待リターンを得ながら、リスクが低くなることがわかります。

分散投資の実例

個人投資家の資産形成にこのような分散投資効果を活用するために、実際の投資における実践を考えてみます。

時価総額加重指数に投資をしよう

▲ 先程の2資産の例から資産の数を増やしていくと、市場に存在するあらゆる資産の組み合わせによって実現可能なリスクとリターンの領域が決まります。

▲ そして、ある期待リターンのもとで最もリスクが低い資産の組み合わせの集合は、効率的フロンティアと呼ばれます。

左上に行くほど投資家にとって望ましいポートフォリオであるという前提に立つと、自分が求める期待リターンの水準における効率的フロンティア上のリスク資産の組み合わせを保有することが最も合理的な投資であると言えます。

また、効率的フロンティア上で最もリスクとリターンの効率が良い資産の組み合わせは『市場ポートフォリオ』と呼ばれ、市場に存在するあらゆる資産を保有したポートフォリオが該当します。

そして、市場ポートフォリオの代替として考えられているのが市場に存在する全ての株式に投資をするTOPIXやS&P500のような『時価総額加重指数』です。

当ブログでもインデックス投資に取り組んでいるのは、こうした理論的な根拠に基づいた合理的な資産形成を目指しているからに他なりません。

個別銘柄でも分散投資をしよう

個別株の投資家にとっても分散投資効果を実践することが可能です。ここではマイクロソフトとマクドナルドへの投資を例に考えてみます。

出所:Yahoo!ファイナンス(2016年11月 – 2019年10月)

マイクロソフトへの投資による過去3年間のリターンは33.75%、リスクは15.61%でした。

一方で、マクドナルドへの投資による過去3年間のリターンは20.41%、リスクは13.97%です。

▲ ここで、マイクロソフトとマクドナルドへの分散投資をするポートフォリオを考えると、図のように表すことができます。

最もリターンが高かったのはマイクロソフトに100%投資をした場合ですが、リスクとリターンの観点から投資の効率を測ると以下の通り。

マイクロソフトマクドナルドリターン(年率)リスク(年率)リターン / リスク
100%0%33.7515.612.16
90%10%32.5414.482.25
80%20%31.3013.492.32
70%30%30.0312.682.37
60%40%28.7312.092.38
50%50%27.4111.742.33
40%60%26.0611.682.23
30%70%24.6811.892.08
20%80%23.2812.361.88
10%90%21.8613.071.67
0%100%20.4113.971.46

マイクロソフトとマクドナルドの組み合わせに投資をすることでリスクが低下し、より効率的にリターンが獲得できていることがわかります。

個別銘柄投資においてはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト…と同じような銘柄を何銘柄も保有しても十分な分散効果を得ることはできません。

例えば、外需系銘柄と内需系銘柄などの業種や、大型銘柄と小型銘柄、バリュー銘柄とグロース銘柄などの銘柄特性はポートフォリオの分散を考える上でのヒントになります。

どのような優良銘柄もパフォーマンスが低迷するタイミングは必ず訪れるので、適切な分散投資を意識して投資を行うように心掛けたいですね。

まとめ

この記事では、投資家が長期投資で成功する上で最も重要なポイントの1つである分散投資効果についてまとめてみました。

分散の概念は既に理解している人も多いと思いますが、株式、債券、オルタナティブ資産と投資対象が増えていく中で、どのようなポートフォリオが理想なのかは非常に深いテーマです。

個人投資家のみなさまも長期的な運用効率の向上を目指して、ご自身のポートフォリオを分散の観点から見直してみてはいかがでしょうか。

参考文献

▲ 分散投資についての記事中の数学的な記述については、こちらの書籍の内容を参考にしながら書かせて頂きました。

大学院のファイナンスの講義でも参考書としてあげられることが多い、ルーエンバーガー先生の世界的に有名な教科書です。

私は講義の理解のために読みましたが、一般の個人投資家には少し難しいので、大学院レベルの知識をきちんと理解したい方にお勧めの本です。

▲ 分散投資を追求する姿勢については、色々な本で書かれていますが、最近ではこちらの書籍を読んで改めて考え直しました。

著者が学者ではなく元ヘッジファンドマネージャーであるため、実際に市場と向き合ってきた経験に基づく投資のノウハウは説得力が違います。

著者は米国ラジオ番組の司会も務めていて読者を引き込むのが上手く、有名な投資の本をひと通り読んだ方でも学びがあるお勧めの良書です。

資産運用
スポンサーリンク
インデックス投資家のアタマノナカ

コメント