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個人投資家の資産形成にデリバティブは有効なのか?オプション取引の基本を直感的に理解しよう

皆さんはデリバティブ(金融派生商品)についてご存知でしょうか。デリバティブという言葉を聞いて、ヘッジファンドや難しい数式をイメージされる方も多いと思います。

MBAのファイナンス講義では必ずと言っていいほどオプションの価格決定理論について勉強するのですが、正直なところ個人投資家にはあまり役に立たないものだと考えていました。

しかし、最近読んだ個人投資家向けの投資本の中でオプションの活用について書かれているのを目にしてから、実は有効な選択肢の1つになる可能性もあると考え始めました。

この記事では、個人投資家の資産形成におけるデリバティブの活用について考えてみたいと思います。前提知識として、デリバティブの基礎知識についてもまとめています。

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デリバティブの活用

▼ これまで個人投資家の資産形成においてデリバティブが必要だと考えたことは全くなかったのですが、先日読んだ個人投資家向けの書籍の中でデリバティブについて書かれていました。

こちらは米国の元凄腕ヘッジファンドマネージャーであるジム・クレイマー氏が個人投資家向けに書いた書籍ですが、知り合いの日本株ファンドマネージャーにお勧めされて読んでみました。

正直、これまで読んだ投資本の中でも群を抜いて面白いのですが、既に絶版になっており中古でしか購入できないのが惜しいところ。私はアマゾンの中古で2,786円払って購入しました。

その中に、以下のような記述があります。

これはあなたのポートフォリオの価値を危険にさらさずに、投資資金とあなたの相場観を何倍ものリターンにつなげる、いわば「保守的」なオプション戦略だ。

出所:ジム・クレイマー著 2006. ジム・クレイマーの株式投資大作戦

安全に高いリターンを稼ぐ...『本当にそんなことができるのか!』という思いもありますが、著者は元ヘッジファンドマネージャーとして資産運用における投機の重要性について力説します。

ちなみに、この本では個別銘柄投資に取り組むべき個人投資家の要件として、日々の銘柄分析(書籍の表現ではホームワーク)の時間を十分に確保できることと明言しています。

投資における十分な分析を行うことができないまま、運を天に任せて投機で一儲けしようと書いている訳ではないので、そこだけはご注意ください。忙しい人には低コストのインデックス運用をお勧めしています。

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デリバティブの基礎知識

それでは本題に入ります。投資家の中には『デリバティブ』という言葉を聞いただけで難しそうと身構えてしまう方もいると思いますが、取引としては実は非常にシンプルです。

デリバティブは日本語で金融派生商品と呼ばれ、元となる原資産から派生した金融商品です。ここでの原資産は株式、債券、為替、金利などが該当し、どれも流動性の高い投資対象です。

フォワード取引

書籍ではオプションの活用について書かれているので、その前提知識としてまずはフォワード取引(先渡し取引)について理解しましょう。

フォワード取引とは、原資産をあらかじめ決められた価格で将来の満期日に買う、もしくは売る取引のことを指しています。

この記事では、実際のトヨタ自動車の株価(2019年9月20日終値:7,403円)を例に、考えてみることにします。

▲ グラフにおいては、横軸が将来の満期日時点のトヨタ自動車の株価、縦軸が各フォワード取引の損益を表しています。

取引の満期日にトヨタ自動車の株価が、現時点の株価7,403円を上回っていれば7,403円で買う権利から利益が生じ、下回っていれば7,403円で売る権利から利益が生じます。

いくらで買っていくらで売るのかという取引を行うタイミングがあらかじめ決まっているだけなので、直感的に理解することができると思います。

コールオプション

そして、このフォワード取引の買い契約に『契約を履行使しなくてもよいオプション』が追加されたものがコールオプションです。

2019年9月20日において、満期日が2020年3月12日、権利行使価格が8,000円のコールオプションが83.50円で取引されています。

▲ グラフは、コールオプションを100単位買った場合の損益です。オプションの購入費用としてオプション価格100単位分の8,350円が投資コストとして掛かります。

満期日の2020年3月12日にトヨタ自動車の株価が権利行使価格である8,000円を上回っていれば権利行使をすることで利益が生まれます。

逆に、株価が8,000円を下回っていた場合、8,000円で買う権利には価値がないため投資コストの8,350円を失うことになります。

仮に、株価が8,500円だったとすると、トヨタ自動車の現物株を購入した場合は7,403円の100株で740,300円が投資コスト、利益が10万9,700円なので、14.82%のリターンです。

一方で、コールオプションを購入した場合、投資コストは8,350円、利益は41,650円なので、驚異の498.80%のリターンです。

仮に現物株の購入に必要な740,300円をオプションの購入に充てたとすると、8,800単位購入できるため利益は367万円となります。

このような現物株の取り引きからはめったに得られないようなリターンを得られることこそが、本の中で投機の活用を勧めていた理由です。

もちろん最大の損失が投資コストまでに限定されるとは言え、現物株を購入する場合と違って相場観が外れた場合に投資コストを全て失うことには注意が必要です。

プットオプション

続いて、フォワード取引の売り契約に『契約を履行使しなくてもよいオプション』が追加されたものがプットオプションです。

同じく2019年9月20日において、満期日が2020年3月12日、権利行使価格が7,000円のコールオプションが233.50円で取引されています。

▲ グラフは、プットオプションを100単位買った場合の損益です。オプションの購入費用としてオプション価格100単位分の23,350円が投資コストとして掛かります。

一般的に、プットオプションのように多くの投資家が避けたいような環境(株価の下落)で価値を生む金融商品は価格が高くなる傾向があります。保険を買うのと同じですね。

満期日である2020年3月12日にトヨタ自動車の株価が権利行使価格である6,000円を下回っていれば権利行使をすることで利益が生まれます。

逆に6,000円を上回っていた場合、6,000円で売る権利には価値がないので投資コストである23,350円を失うことになります。

仮に株価が6,500円だった場合、プットオプションの購入から得られるリターンは114.13%です。コールオプションの場合と同じく、レバレッジの効果を実感する水準ですね。

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まとめ

デリバティブ(金融派生商品)という名称を聞くと、個人投資家にとっては株式や債券などと比較して縁遠い金融商品だと感じてしまいます。

しかし、価格や損益を理解することはそれほど難しいものではありません。実際にオプション取引が活用されている個人投資家向けの投資信託もあります。

オプション取引は投資判断を誤った際にオプション価値がゼロになってしまうというリスクがある一方で、投資判断が当たれば投資元本に対して大きな利益を得ることができます。

損失は投資元本までなので、個別銘柄などをしっかり分析している個人投資家の方は、ここぞという確信が持てる場面では活用してみてもいいのかもしれませんね。

デリバティブを活用することのメリットとして、オプションの組み合わせによって様々な相場観を表現することができることがあるので、それについてはまた改めて書きたいと思います。

▼ ちなみに、MBAの講義ではこちらの教科書に基づいてデリバティブについて勉強しました。

練習問題も多く、真面目に勉強したい方にはお勧めです。読みものではないのでご注意ください。

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