資産運用

現金はいくら保有するべきか?個人投資家の現金保有について考える

資産運用について考える際に、現金をいくら保有するべきかという問題は、投資家をよく悩ませる問題の1つです。

資産運用に取り組むようになると、(低金利下において)リターンを生まない現金の保有は非効率に思えます。

一方で、現金がなければ生活に必要な資金が不足することや、絶好の投資機会が訪れた際に投資ができないという悩みもあります。

この記事では、投資家であり消費者でもある個人投資家として、現金をいくら残して投資をするべきかについて考え方をまとめてみました。

この記事を通じて、自分の運用資産に対して現金をいくら保有するべきなのか、体系的に考えられるようになることを目指します。

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現金保有は3つの視点で

現金をいくら保有するべきかという問題は、個人の投資スタイルや生活スタイルの影響を受けるため、1つの正解がある訳ではありません。

しかし、人それぞれという結論では参考にならないため、当ブログが考える資産運用における現金保有についてまとめたいと思います。

まず、なぜ株式や債券の割合を決めることとは別に、『現金をいくら残しておくべきか』という問題が投資家を悩ませるのでしょうか。

それは、現金をいくら保有するべきかという問題は、個人投資家の消費者としての顔と投資家としての顔のバランスに基づいているからです。

投資の専門家であるファンドマネージャーは純粋な投資家なので、預けられた資金を基本的には全て金融資産に投資をしてリターンを稼ぎます。

一方で、個人投資家は保有する現金で食費や家賃、光熱費などの生活コストを支払うと同時に、現金で株式や債券を購入しています。

個人投資家にとって現金は複数の役割を担っており、現金の各役割を整理しないままに必要な金額を考えようとすると問題は複雑に感じます。

そこで、『生活に必要な現金』と『投資に必要な現金』を分けて、必要な金額を考えることが重要です。最後に、投資に必要な現金の中から『投資対象としての現金』について考えましょう。

生活資金としての現金

現金の役割として最も重要なのは『生活資金としての現金』です。これは投資家としてというよりも、消費者として必要な現金が該当します。

株式や債券など相対的に高いリターンを生むことが期待される資産になるべくお金を投じた方が資産運用の効率が向上することはたしかです。

しかし、生活に必要な現金に余裕がないと、思わぬタイミングで資産を現金化することになり、せっかくの投資リターンを失う可能性があります。

私の場合、社会人になって間もない頃は、現在よりも積極的に資産運用に励んでおり、金融資産の殆どがリスク資産になっている状況でした。

しかし、海外旅行など予定外の出費がかさんでクレジットカードの支払い額が積み上がり、金融資産をひどいタイミングで泣く泣く売却した経験があります。

それ以降、生活コストの6ヶ月分は最低でも現金として銀行口座に残す方針にしており、新しく投資をされる方にもそのようにアドバイスをしています。

6ヶ月分と言うと、生活コストを月20万円とすれば120万円ですので、最初の頃はこんなに現金を残しておくのはもったいないと感じるかもしれません。

しかし、資産が増加しても生活コストはそれほど大きく変化しませんので、資産が大きくなれば生活に必要な現金の比率は徐々に小さくなります。

資金効率は後から着実に向上していきますので、まずは焦らず投資を行うために最低限必要な生活のベース資金をしっかりと築くようにしましょう。

待機資金としての現金

続いて考えるのが『待機資金としての現金』です。これには、いつか投資に振り向ける方針であるものの、一時的に投資機会を待っている現金が該当します。

資産運用のよくある悩みとして、価格が下落して絶好の投資機会が来たと考えているのに、手元の現金がなく投資ができないということがあります。

これに対して現金を常に残しておけばいいのかというと、逆に資産価格が上昇した場合には機会損失となるため、単純な解決策がない問題ではあります。

ここで自身の資産運用の方針として明確にしなければならないのは『短期の投資機会からリターン獲得を狙うのか』そして『資産のどの割合をそこに振り向けるか』の2つです。

まず、短期の投資機会を狙うべきかどうかというのは、自分がどれぐらいの時間と労力を投資に振り向けられるのかによって決まります。

短期の投資機会は上手く活用できれば、20%、30%のリターンをサクッと稼いでしまう場合もあるので、投資家としては活用したいのが本音です。

しかし、多くの投資の教科書に投機は危険と書かれている通り、実際にタイミングを見て投資を判断するのは難易度が高いと言えます。

自分に投資の分析やモニタリングを十分にできる時間があるのであれば、現金をある程度残して機会を狙うべきです。

しかし、逆に仕事などで忙しく余裕がないのであれば、現金は残さずに市場平均リターンの獲得を目指しましょう。

そして、短期の投資機会を狙うのであれば待機資金はリスク資産の20%程度を目安にしておくようにしましょう。

あまり多くの資産を現金として残しておくのは資産運用の原則からすると非効率ですし、20%程度であれば仮に失敗しても損失を取り戻すことは可能です。

投資対象としての現金

最後に考えたいのが『投資対象としての現金』であり、投資家として積極的に保有する現金が該当します。

私たちは労働の対価として現金を受け取り、株式や債券などに投資をしているので、積極的に現金を保有するという表現に違和感を感じるかもしれません。

しかし、投資家として各資産を捉え直すと、株式や債券などのリスク資産に対して、現金は無リスク資産として考えることができます。

例えば、2007年に起こった世界金融危機のようなあらゆる資産が下落するような局面では、リスクの無い現金は最もリターンの高い資産の1つでした。

相場の方向感を正しく読むというのは難しいことではありますが、今後の金融資産の下落を見込む場合には、株式や債券などを減らして現金を増やす投資判断が正しい場合もあります

また、資産をバイ&ホールドした結果、含み益をみすみす失う投資家も多いように、上がりすぎた資産を一時的に減らしておくことも有効な場合があります

資産運用の基本としては、このような市場タイミングを正しく読むことは難しいと言われているため、基本はフルインベストメントが原則です。

しかし、リスクを取りすぎて精神的にすり減ってはしまっては元も子もありません。

攻めるだけが投資ではないので、分が悪いと感じた時には資産の10%、20%を無リスク資産で保有するという退却の判断もできるようになりましょう。

まとめ

この記事では、資産運用における現金の役割に焦点を当てて、考え方を改めて整理してみました。

『生活資金としての現金』『待機資金としての現金』『投資対象としての現金』という3つの枠組みで現金を考えることで、現金の保有について体系的に考えることが可能です。

投資については、現金からリスク資産への資金移動について考える時間に多くを割いてしまう傾向がありますが、現金の保有も投資成果に大きく影響します。

ぜひ一度自分なりの現金の活用方法について、じっくりと考え方を整理してみて頂ければと思います。

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インデックス投資家のアタマノナカ

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