資産運用

優れた長期投資は機関投資家から学ぶ!個人投資家も参考にしたい米国大学基金のポートフォリオ5選

資産運用を考える際に、株式や債券などの資産クラス毎の配分(アセットアロケーション)をどのように決めるべきでしょうか。

リスクやリターンの観点から運用目標に最適な配分を決めるのが一般的ですが、他の投資家がどのようなポートフォリオを運用しているのかを知っておくことも参考になります。

そこでお勧めしたいのが、学生の学費や卒業生からの寄付金を積み立てて運用している米国の大学基金のポートフォリオです。

資産運用の前提となっている有名なファイナンス理論の多くは、資産運用大国である米国の研究が起源にあり、それを自ら実践している大学基金の運用は最も洗練された運用の1つです。

この記事では、個人投資家が学びたい米国の大学基金のポートフォリオとそのエッセンスについてご紹介したいと思います。

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ハーバード大学

出所:Harvard Management Company HP

まずは、世界最高峰の大学の1つであるハーバード大学の教育や研究を支援することを目的に1974年に設立されたハーバード大学基金です。

米国の大学基金の運用は、大学の自己資金という長期資金に基づいた分散投資の追求とオルタナティブ資産の活用に運用の特徴があります。

ハーバード大学基金についても、株式や債券などの伝統的資産に加えて、ポートフォリオの半分以上をオルタナティブ資産に投資しています。

  • プライベートエクイティ:16%
  • ヘッジファンド:21%
  • 不動産:13%
  • 天然資源:6%

出所:Harvard Management Company HP

最近では、他の大学基金と比較してリターンの低迷が続いたことで運用アプローチの見直しなどに取り組んでいましたが、それでも長期のリターンは市場平均を大幅に上回っています。

イエール大学

出所:Yale Investments Office HP

続いては、アカデミックな理論と市場情報に基づいた投資判断の組み合わせによりポートフォリオを運用しているイェール大学基金です。

有名なポートフォリオ理論である『平均分散アプローチ』を提唱したノーベル経済学者のハリー・マーコウィッツはイェール大学で教鞭をとったことで知られています。

直近の米国の大学基金のポートフォリオの中でも、イェール大学基金は米国の上場株式の割合を最も抑えた構成比率になっています。

  • 米国株式:3.0%
  • 外国株式:15.5%

米国の上場株式に代わってポートフォリオの中心になっているのが、やはりハーバード大学基金と同様にオルタナティブ資産です。

  • 絶対収益型:26.0%
  • レバレッジドバイアウト:15%
  • 天然資源:6.5%
  • 不動産:9.5%
  • ベンチャーキャピタル:18%

出所:Yale Investments Office HP

ポートフォリオ構成の推移を見ると、1990年代に5割以上を占めていた米国の上場株式の割合を過去最小まで減らしています。

それだけ米国の上場株式に期待されるリターンが低下していることや、分散を追求できる新たな投資対象が増えていることを意味しています。

イェール大学基金の過去10年間のリターンは年率7.4%であり、投資を行っている様々な資産クラスにおいてベンチマークを上回る高いリターンを獲得していることがわかります。

テキサス大学

出所:UTIMCO HP

続いては、将来に渡る大学運営の資金的なサポートを目的として1996年に設立されたテキサス大学基金のポートフォリオです。

テキサス大学基金は、リターンの源泉別に資産クラスを3つのカテゴリーに分類し、分散投資をすることでポートフォリオを運用しています。

1つ目が、高いGDP成長率と適切なインフレ環境の下で企業収益の成長によりリターンを稼ぐことが期待されるGlobal Equity(株式系)。

2つ目が、景気後退のような低いGDP成長率の下でリターンを稼ぎ、株式資産との低い相関が期待されるStable Value(債券系)。

3つ目が、予期せぬインフレによって資産価値が毀損するリスクをヘッジし、分散効果が期待されるReal Return(実物資産)です。

出所:UTIMCO HP

直近5年のパフォーマンスでは、良好な経済環境においてGlobal EquityやReal Returnが、リターンの牽引役となっていることがわかります。

プリンストン大学

出所:Princeton University Investment Company HP

続いては、大学運営に対する安定した資金サポートの提供を目指して年率10%以上のリターン目標を掲げるプリンストン大学基金です。

目標の達成には、ファイナンス理論と実証研究を根拠としてアグレッシブな株式ベースの運用アプローチが不可欠だと主張する通り、ポートフォリオは株式資産を中心に構成されます。

  • 米国株式:9%
  • 先進国株式:6%
  • 新興国株式:10%
  • 絶対収益型:25%
  • プライベートエクイティ:27%

出所:Princeton University Investment Company HP

プリンストン大学基金は、基金のパフォーマンス目標として以下の3つを明示的に掲げています。

  • 高い絶対リターンの獲得
  • 市場指数の組み合わせに対するαの獲得
  • 他の大学基金と比較した競合優位性

グラフは基金が委託運用を開始した1977年以降のパフォーマンスです。米国の株式と債券を組み合わせたバランス運用を大幅に上回る年率13.2%のリターンを獲得しています。

スタンフォード大学

出所:Stanford Management Company HP

最後は、現在および将来の大学運営に対する資金的なサポートの提供を目的として1991年に設立されたスタンフォード大学基金です。

上場株式の割合は合計27%と全体の1/4程度であり、世界の時価総額に占める割合と比較して米国株式の割合はかなり抑えられています。

  • 米国株式:7%
  • グローバル株式:20%

一方で、オルタナティブ投資は全体の6割以上を占めており、他の大学基金と同様にこれらの資産を積極的に活用していることがわかります。

  • 絶対収益型:22%
  • プライベートエクイティ:27%
  • 不動産:8%
  • 天然資源:9%

出所:Stanford Management Company HP

基金設立来のリターンは年率11.7%と高いリターンを獲得しており、いかに優れた長期投資、分散投資が行われてきたことがわかります。

出所:Stanford Management Company HP

過去10年間のリターンの源泉は、主に上場株式とプライベートエクイティでした。その他の資産クラスもプラスのリターンを獲得しており、収益源泉の分散が図られていることがわかります。

まとめと参考文献

米国の有名大学基金の運用は長期の平均リターンが高く、世界で最も優れた資産運用を行う機関投資家の1つであると言えます。

当ブログも含めて、個人の長期投資家が米国の大学基金のポートフォリオ運用から学ぶべきエッセンスは以下の通り。

大学基金の運用のポイント
  • 自己資金の長期投資
  • 徹底した分散投資
  • オルタナティブ資産の活用

もちろん、プライベートエクイティなどのオルタナティブ資産は、日本の個人投資家からアクセスできる商品がほとんどないのが現状です。

しかし、長期投資や分散投資の重要性は何度でも確認したい資産運用のポイントであり、個人投資家としても大学基金の運用を見習っていきたいですね。

最後に、米国の大学基金の運用についてより詳しく知りたい方については、以下の2冊の書籍が参考になります。

米国の大学基金の考え方に学び『GCIエンダウメントファンド』を運用するGCIアセット・マネジメントのCEOの方が書かれた著書です。

大学基金の運用は個人投資家でも実践するできるというコンセプトで書かれた本であり、大学基金の運用を目指す投資家には参考になります。

一方で、大学基金のポートフォリオから読み取ることができるエッセンスはポートフォリオから読み取れる通り分散投資、長期投資、オルタナティブ資産の活用です。

当記事で書いた内容について、改めて確認したい人向けの書籍になると思います。

こちらは、イェール大学の資産を20年間で20倍以上に増やしたCFOによる個人投資家向けの投資を解説した本です。

基本的な主張は『ウォール街のランダムウォーカー』や『敗者のゲーム』などのと同様ですが、実際に大学基金運用に携わっていた方の考え方に触れることができる点では貴重です。

外国の書籍らしくページ数が多く冗長な印象もあるので、大きい本屋などで見つけた際にパラパラと章のまとめを読むといいかもしれませんね。

年金基金については、別の記事でまとめていますので宜しければこちらもご参照ください。

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